セキュリティの手引き
メールで個人情報を誤送信したら|報告が要るかの判断と例文
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:最初の1時間で①上司に報告 ②誤って届いた相手に削除を頼む ③何が・何人分届いたかを書き出す。個人情報保護委員会への報告が義務になるのは、4つの場合のどれかに当たるときです。BCCの間違いでアドレスが見えただけなら、1,000人以下で、ほかに当たらなければ義務ではありません。
最初の1時間- 1上司に報告隠さない
- 2削除を頼む誤って届いた相手に
- 3書き出す何が・何人分
- 4判断する報告が要るか
まずやること
個人情報を含むメールを、違う相手に送ってしまった。これは、個人情報保護委員会のガイドラインで「漏えい」の例として挙げられています。ただし、相手が見る前に全部を取り戻せたなら、漏えいには当たりません。
漏えいに当たるか相手が見る前に全部取り戻せた?
はい漏えいに当たらない
いいえ・分からない漏えい(おそれ)として進める
メールは、送ったあとに取り戻すのが難しい手段です。Outlookの「取り消し」が効くのは、同じ組織のMicrosoft 365のアカウントどうしで、相手がまだ開いていないときだけです。社外の相手には効きません。
送信の取り消しが効く範囲Gmailの送信取り消しは送ってから最大30秒
Gmailの「送信取り消し」は、送ってから5・10・20・30秒のうち設定した時間だけです。間に合わなかったら、誤って届いた相手に電話かメールで削除を頼み、消したことを返信してもらいます。
書き出すこと- 送った日時と送り先
- 届いた情報の項目
- 何人分か
- 相手が開いたか・消したか
報告が要るかの判断
委員会への報告と、本人への通知が義務になるのは、次の4つのどれかに当たるときです。「おそれ」の段階でも対象です。
| 場合 | 誤送信での例 |
| ①要配慮個人情報が含まれる | 従業員の健康診断の結果を、違う相手に送った(人数は問わない) |
| ②財産的被害のおそれ | クレジットカード番号や、送金・決済ができるサービスのIDとパスワード |
| ③不正の目的のおそれ | うっかりの誤送信は当たらないと考えられる。従業員が不正に持ち出したなら当たる |
| ④本人が1,000人を超える | 1,000人を超える名簿を添付して誤送信した |
BCCに入れるはずのアドレスをTOやCCに入れて、受け取った人どうしでアドレスが見えた場合も考え方は同じです。氏名が分かるアドレスは個人情報に当たります。見えたのが1,000人以下で、①〜③に当たらなければ、報告の義務はありません。
BCC間違いの人数の線1,000人以下義務なし
1,000人超報告が必要
①〜③に当たれば人数によらず必要
義務がなくても、委員会に任意で報告することはできます。報告するときは、速報を知った時点から概ね3〜5日以内に、確報を30日以内に出します。
報告の期限3〜5日速報知った時点から
30日確報③に当たるなら60日
- マイナンバーが含まれる(含まれるか分からない):委員会の専用のフォームから報告します。
- 業種によっては報告先が違う:委員会の権限が各省庁に任されている業種は、その省庁に報告します。
報告の窓口に気をつける場合1マイナンバー専用のフォーム
2権限委任の業種各省庁に報告
判断に迷うときは弁護士に相談
報告のしかたと本人への通知は、漏えいの報告と通知の手引きにまとめています。判断に迷うときは、弁護士に相談してください。
例文(削除のお願い・お詫び)
どの例文も、実態と違う内容をそのまま写さないでください。分かっていないことは「確認中」と書きます。
件名:【お願い】誤ってお送りしたメールの削除について
○○様
△△株式会社の□□です。
本日○時ごろ、□□よりお送りしたメール(件名「○○○○」)は、
別のお客様宛てのものを、誤って○○様にお送りしたものです。
大変お手数ですが、添付ファイルを開かずに、メールを削除して
いただけますでしょうか。削除いただけましたら、
このメールにご返信いただけますと助かります。
ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
件名:メールの送信方法の誤りについて(お詫び)
○○様
△△株式会社の□□です。
○月○日○時ごろに当社からお送りしたメールで、
本来BCCで送るべきところを誤ってCCで送ったため、
受け取られた皆様のメールアドレス(○名分)が、
互いに見える状態となりました。
お手数ですが、該当のメールを削除いただけますようお願いいたします。
今後は、複数の方へのメールの送り方を見直し、
同じことが起きないよう努めます。
ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
お問い合わせ:(窓口・電話番号)
お詫びのメールは、1人ずつか、宛先をBCCにして送ります。お詫びでまたアドレスが見えると、同じ事故を重ねます。
落ち着いたら:同じことを起こさない
見直すこと- 送信を遅らせる設定を入れる
- 多くの人へは一斉配信の仕組みで
- 個人情報は添付せず共有リンクで
- 送る前に宛先を声に出して確かめる
Gmailの送信取り消しの秒数を長くするなど、送る前に気づける仕組みを入れます。多くの人に同じメールを送るときは、BCCに頼らず、一斉配信の仕組みを使うと間違いが減ります。
よくある質問
社内の別の人に誤送信しました。漏えいですか?
ガイドラインの「漏えい」は、個人データが外部に流出することです。社内の人への誤送信は、ふつうは外部への流出に当たらないと考えられます。ただし、見る権限のない人に届いたなら、削除を頼み、社内の扱いを見直してください。
相手が「消しました」と言えば、なかったことにできますか?
相手が開く前に消したと確かめられれば、漏えいに当たらないと考えられます。開いたあとなら漏えいとして扱い、4つの場合に当たるかを判断します。
参考にした資料
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」2-1、3-5
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
- 個人情報保護委員会「権限委任」の一覧
- Microsoft サポート「Outlook でメールを取り消す方法」
- Gmail ヘルプ「送信したメールを取り消す」