セキュリティの手引き
不正アクセスを警察に相談するときの準備|持っていくもの
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:相談・通報は、警察庁のオンライン窓口から都道府県警察へ送れます。被害届は、会社の所在地を管轄する警察署へ出します。準備するのは、警察が例に挙げる通信ログ・アクセスログ、被害を受けたサーバーなどの情報、システム構成図と、時系列のメモです。ログは消えないうちに保全しておきます。
持っていくもの- 通信ログ・アクセスログ
- 被害サーバーなどの情報
- システム構成図
- 時系列のメモ
相談・通報・被害届の違い
警察庁の「サイバー事案に関する相談窓口」では、オンラインで「通報」「相談」「情報提供」の3つを受け付けています。選んだ都道府県警察本部や警察署に内容が通知されます。
| 種類 | 中身 | 出し方 |
| 通報 | 被害にあった具体的な事実を知らせる | 警察庁のオンライン窓口(e-Gov電子申請) |
| 相談 | 都道府県警察にアドバイスを求める | オンライン窓口、都道府県警察の電話相談 |
| 情報提供 | 都道府県警察に情報を知らせる | オンライン窓口 |
| 被害届 | 被害を正式に届け出る | 会社の所在地を管轄する警察署 |
警視庁のページでは、オンラインの窓口や電話相談では被害届は受理できないとされています。東京都の会社は、サイバー犯罪の電話相談(03-5805-1731、平日8:30〜17:15)も使えます。ほかの道府県は、警察庁の一覧で連絡先を探します。
どこで出せるか命に関わる脅迫などは110番
持っていくもの
警察が例に挙げているもの
愛媛県警(2023年)と長崎県警(2025年)の広報誌は、企業に提供をお願いするものの例として、次の3つを挙げています。何が要るかは事案で変わります。
警察が例に挙げる3つ1通信・アクセスログ相手を追うために要る
2被害サーバーの情報不正なプログラムなど
3システム構成図手書きでもよい
ログは、機器やクラウドによっては、一定の期間がたつと上書きされたり消えたりします。相談の前に、外とつながる機器(VPN機器、ルーター)、サーバー、クラウドのログイン記録を書き出し、保存した日時と方法をメモしておきます。
ログの保全- 1書き出す機器・サーバー・クラウド
- 2別の場所に保存感染した機器の外へ
- 3メモする保存した日時と方法
会社として用意しておくと話が早いもの
警察の例に加えて、次のものがあると、何度も同じ説明をせずに済みます。持参する書類や身分証は、行く前に警察署へ電話で確かめてください。
会社として用意するもの- 時系列のメモ(下のひな形)
- 画面の写真・届いたメール
- 被害の範囲(台数・データ)
- 保守会社の連絡先
- 担当者の連絡先
【警察への相談用 時系列メモ】
■会社名・所在地:
■担当者:(氏名/部署/電話)
■起きたこと:(不正ログイン、データの暗号化、改ざん等)
■時系列(分かる範囲で)
〇月〇日 〇時ごろ (例:社員が〇〇の画面に気づく)
〇月〇日 〇時ごろ (例:該当のパソコンをネットワークから切り離す)
〇月〇日 〇時ごろ (例:保守会社に連絡)
■被害の範囲:パソコン〇台/サーバー〇台/クラウド(サービス名)
■個人情報:含まれる/含まれない/不明
■保全したもの:(ログの種類、保存した日時、保存先)
■ほかに連絡した先:(保守会社、IPA、保険会社、個人情報保護委員会)
■警察にお願いしたいこと:(相談、被害届の提出 等)
ひな形は例です。実態と違う内容をそのまま写さず、分からないことは「不明」と書いてください。
メモの書き方
相談したあとの流れ
長崎県警の広報誌は、警察が被害企業の意向を最大限尊重し、業務への影響が最小限になるよう配慮して捜査していると説明しています。最初はログの保全など最小限の協力をお願いし、ある程度落ち着いてから話を聞く、としています。
相談したあとの流れ(例)- はじめログの保全最小限の協力
- 並行して復旧を進める業務への影響に配慮
- 落ち着いてから話を聞かれる担当者の聴取
同じ広報誌は、警察が被害の拡大を防ぐための情報の提供や助言もするとしています。犯人に損害を請求するか、告訴するかなど、法律の判断が要ることは弁護士に相談してください。
警察とは別に進めること
警察への相談は、ほかの手続きの代わりにはなりません。個人データの漏えいのおそれがあれば、個人情報保護委員会への報告が要るかを確かめます。速報の目安は知ってから3〜5日以内です。
警察と並行して進める先1個人情報保護委員会報告が要るか確かめる
2保守会社切り離し・復旧
3保険会社入っていれば第一報
4取引先契約に沿って連絡
報告の期限は個人情報が漏れたときの報告と通知、相談先の全体像はセキュリティ事故の相談先の使い分けにまとめています。
よくある質問
実際の被害がなくても、相談していいですか?
はい。警察庁のオンライン窓口には「相談」と「情報提供」があり、被害の具体的な事実がない段階でも送れます。
オンラインの窓口にファイルを添付できますか?
添付できます。警察庁のページでは、マクロが設定されたファイルは受付のときにマクロが取り除かれると案内しています。ログやメモは、マクロのない形式にしておくと確実です。
パソコンやサーバーを警察に預けることになりますか?
何を求められるかは事案によります。広報誌では、業務への影響が最小限になるよう配慮するとしています。業務で使い続けたい機器があるときは、その事情を最初に伝えてください。
参考にした資料
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」
- 警察庁「都道府県警察の連絡先、警察署一覧」
- 警視庁「サイバー犯罪の相談」
- 警視庁「サイバー犯罪相談窓口」
- 愛媛県警察「サイバーセキュリティだより」Vol.90(2023年4月)
- 長崎県警察「サイバーセキュリティ通信」第4号(2025年5月)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-5