セキュリティの手引き
チェックシート「委託先を管理していますか」の回答例|再委託先とクラウドの書き方
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:この設問は、「預かった情報を、どこに渡しているか(外注先・クラウド)」と「渡す相手をどう選び、どう約束し、どう確かめているか」を書けば答えになります。まず、取引で預かる情報に触れる外注先とクラウドサービスを一覧にしてください。
外注していなければ「該当なし(再委託は行っていない)」と理由つきで書きます。一覧や契約がまだなら「いいえ」とし、今している確認と、いつまでに一覧と約束を整えるかを添えれば、誠実な回答になります。
この設問で取引先が確かめたいこと
取引先にとって、御社は「委託先」です。御社がさらに外注すると、預けた情報が取引先の知らない所へ渡ります。そのため次の点を見ています。
- どこまで渡るか:外注先(再委託先)がいるか、どの業務で、どの情報を渡すか。
- 相手を選んでいるか:渡す前に、相手の対策を確かめているか。
- 約束しているか:秘密保持や情報の扱いを、契約や覚書で決めているか。
- 事前に知らせるか:再委託するとき、取引先に報告・承認を求めるか。
個人データを扱う場合、個人情報保護法の第25条は委託先の監督を求めています。個人情報保護委員会のガイドラインは、①適切な委託先の選定、②委託契約の締結、③委託先での取扱状況の把握、の3つを挙げています。再委託については、委託元が委託先から事前に報告を受けるか、承認することが望ましいとしています。
クラウドサービスは「委託先」に入るか
個人情報保護委員会のQ&A(Q7-53)は、クラウドサービスの事業者が保存された個人データを取り扱わないことになっている場合(契約で取り扱わない旨が決まっていて、適切にアクセス制御されている場合など)は、委託には当たらず、第25条の監督義務はないとしています。ただし、利用する側が自らの安全管理措置として適切に対策する必要がある、とも書いています(Q7-54)。
チェックシートでは、取引先が「利用しているクラウドサービス」も知りたがることが多いので、外注先とは分けて書くと分かりやすくなります(設問の書き方によります)。
回答例(はい/一部/いいえ/該当なし)
以下は書き方の例です。御社の実態に合わせて書き換えてください。実態と違う内容をそのまま写すことはしないでください。
| 回答 | 回答例 |
| はい | 「外注先は委託先一覧で管理し、契約前に対策の状況を書面で確認している。全外注先と秘密保持契約を結び、年1回確認している。貴社の情報を再委託する場合は、事前に貴社の承認を得る。」 |
| 一部 | 「外注先(デザイン制作1社)と秘密保持契約を結んでいる。委託先一覧と定期確認の仕組みは未整備で、20XX年X月までに整える予定。」 |
| いいえ | 「委託先の管理の手順は未整備。現在は外注時に、必要な情報だけを渡し、作業後の削除を口頭で依頼している。20XX年X月までに一覧の作成と秘密保持契約の締結を行う予定。」 |
| 該当なし | 「本業務では再委託を行っていない。業務で使うクラウドサービスはGoogle Workspace(メール・ファイル共有)で、管理者が利用者と権限を管理している。」 |
委託先一覧のひな形
次の形で表計算ソフトに作っておくと、どのシートにもそのまま使えます。
名前|区分(外注先/クラウド)|任せている業務|渡す・置く情報|契約・秘密保持|確認の方法|最終確認日
例)〇〇デザイン|外注先|チラシ制作|顧客名なし・商品写真|秘密保持契約あり|対策の書面回答|20XX/XX
例)会計クラウド|クラウド|会計|取引先名・請求額|利用規約|管理者・多要素認証の設定確認|20XX/XX
- 洗い出す:経理代行、制作会社、システム保守など、取引先の情報に触れる相手を書き出します。
- 約束を確かめる:契約書に秘密保持と情報の扱いが入っているか。なければ覚書を結びます。
- 年1回見直す:使わなくなった相手を外し、確認日を更新します。
IPAのガイドラインも、契約書に委託先の責任と実施すべき対策を明記し、合意するよう勧めています。
よくある質問
フリーランスに一部を手伝ってもらっています。再委託に当たりますか?
取引先から預かった情報を渡すなら、再委託として扱うのが安全です。取引先との契約で再委託に承認が必要とされていないかも確かめてください。
大手のクラウドサービスに、こちらから対策を確かめる必要はありますか?
相手に監査を求めるのは現実的でないことが多いので、公開されている認証や対策の資料を確かめ、自社側の設定(管理者、多要素認証、共有範囲)を整えた記録を残すのが現実的です。
参考にした資料
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-4-4 委託先の監督
- 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」Q7-53・Q7-54
- IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」