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セキュリティの手引き

Microsoft 365のアカウントが乗っ取られたら|管理者が最初の1時間にやること

公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太

結論:最初の15分で①パスワードをリセット ②すべてのセッションからサインアウト ③サインインをブロック。続く1時間で転送・受信トレイのルール・多要素認証の登録・サインインログを確かめます。サインインログは無料の範囲だと7日で消えるので、先に保存します。

最初の1時間
  1. 15分止めるリセット・サインアウト・ブロック
  2. 1時間確かめる転送・ルール・登録・ログ
  3. そのあと戻す送信制限の解除・連絡

こんなときは乗っ取りを疑う

Microsoftは、次のような様子を乗っ取りの兆しとして挙げています。1つでも当てはまれば、本人の勘違いと決めつけずに調べ始めます。

乗っ取りの兆し
  • メールが送れなくなった
  • 知らない宛先へ転送するルール
  • 送信済みに覚えのないメール
  • パスワード変更やロックが続く
  • 署名が書き換えられている

取引先から「変なメールが来た」と言われて気づくことも多いです。そのときの連絡の順番は取引先に不審メールが送られたらにまとめています。

最初の15分:止める(順番が大事)

Microsoft 365 管理センターの「ユーザー」→「アクティブなユーザー」で、該当の人を選んで進めます(画面の名前は変わることがあります)。

止める順番
  1. 1パスワードをリセット新しいものはメールで送らない
  2. 2全セッションからサインアウト「アカウント」タブ
  3. 3サインインをブロック反映に最大24時間
  1. パスワードをリセット:新しいパスワードはメールで送りません。乗っ取った側が読めるおそれがあるためです。電話か口頭で伝えます。
  2. すべてのセッションからサインアウト:1時間以内に、もう一度サインインを求められます。
反映までの時間
1時間以内サインアウト再サインインを求める
最大24時間ブロックだから先にリセット
  1. サインインをブロック:反映に最大24時間かかることがあります。だから先にパスワードを変えます。
  2. アプリ パスワードを消す:パスワードをリセットしても、アプリ パスワードは自動では取り消されません。
パスワードを変えても残るもの

消えない

  • ×アプリ パスワード
  • ×転送の設定
  • ×受信トレイのルール

別に消す

  • ○アプリ パスワードを削除
  • ○転送とルールを見て消す

Microsoft Entra 管理センターなら、「ユーザー」→「すべてのユーザー」で人を選び、概要の「セッションの取り消し」でも同じことができます。

最初の1時間:確かめる5つの場所

見つけたものは、消す前に画面を撮っておきます。いつ、何をされたかを調べる手がかりになります。

見る所場所(名前は変わることがあります)見る点
転送管理センターのユーザーの「メール」タブ→「メール転送の管理」外部のアドレスへの転送がないか
受信トレイのルールOutlookの「設定」→「メール」→「ルール」外部へ転送するもの、ノート・迷惑メール・RSSのフォルダへ移すもの
多要素認証の登録Entra 管理センターのユーザーの認証方法知らない電話番号やアプリ
同意したアプリ・役割Entra 管理センターのアプリと役割の割り当て覚えのないアプリ、付けた覚えのない管理者の役割
サインインログEntra 管理センターのサインインログIPアドレス、場所、時刻、成否

サインインログと監査ログの保存期間は、Microsoft Entra IDの無料の範囲で7日、P1・P2で30日です。期限を過ぎたものは戻せないので、最初にダウンロードしておきます。

サインインログが残る期間
無料の範囲7日
P1・P230日

過ぎたら戻せない。最初に保存する

乗っ取られていた間に、その人から誰に何が送られたかは、Exchange 管理センターの「メール フロー」→「メッセージ追跡」で調べます。既定は過去2日分で、最大90日までさかのぼれます。10日を超える範囲は、ダウンロードするレポートとして届き、数時間かかることがあります。

メッセージ追跡で見られる範囲
2日既定
10日すぐ見られる
90日最大レポートで受け取る

そのあと:戻す・知らせる

乗っ取られたアカウントから大量にメールが送られると、送信だけが止められることがあります。受信はできますが、送ると「5.1.8」のエラーで戻ってきます。

送信が止められていたら
止める・確かめるは済んだ?
まだ先にアカウントを取り戻す
済んだ制限付きエンティティで解除

解除は Microsoft Defender ポータルの「メールとコラボレーション」→「レビュー」→「制限付きエンティティ」で行います。多くは1時間以内、長くても24時間以内に外れます。

知らせる相手
1社長・責任者窓口は1人に
2取引先メール以外でも
3届け出個人データが絡むとき

取引先への連絡と例文はこちらに、振込が絡んだときは振り込んでしまったらにまとめています。個人データを見られたおそれがあるときは、漏えいの報告の判断も要ります。

よくある入口
入口使い回し・偽のログイン画面
足りない多要素認証なし
その結果乗っ取られる

落ち着いたら、全員に多要素認証を入れます。Entra の「セキュリティの既定値群」を有効にすると、全員の多要素認証の登録と、古い認証方式のブロックがまとめて入ります。外部への自動転送も、送信スパムのポリシーで「オフ」と明示しておくと安心です。

落ち着いたら入れる設定
  • 全員の多要素認証
  • セキュリティの既定値群
  • 外部への自動転送をオフ
  • 辞めた人のアカウントを止める

よくある質問

多要素認証を入れていたのに、乗っ取られました。なぜですか?
偽のログイン画面が本物との間に入り、ログインしたあとの状態ごと盗む手口があります。この場合も、セッションの取り消しとパスワードのリセットが効きます。手口は多要素認証を突破する攻撃で説明しています。
管理者が社外の業者で、すぐ連絡がつきません。
本人がOutlookでパスワードを変え、「設定」→「メール」の転送とルールを確かめるところまでは進められます。セッションの取り消しやログの保存は管理者の権限が要るので、連絡は続けてください。
アカウントを消してしまえば早いですか?
消すと、調べる手がかりやメールそのものが失われることがあります。まずは止めて、調べ終わってから扱いを決めます。

いま起きているなら、テキストで相談を

Moshiruの代表は、大手自動車メーカーでセキュリティインシデント対応のチームリーダーを務めました。止める順番、確かめる場所、取引先への連絡文まで、打合せなし・テキストのやり取りだけでお手伝いします。

事故が起きたら相談する24時間受付・30分以内に返信メールが乗っ取られたらGmailも含めた見る場所

参考にした資料

  1. Microsoft Learn「侵害されたクラウド メール アカウントに応答する」
  2. Microsoft Learn「元従業員のサインインをブロックし、全セッションからサインアウトする」
  3. Microsoft Learn「Microsoft Entra ID の緊急時にユーザー アクセスを取り消す」
  4. Microsoft Learn「Microsoft 365 でメール転送を構成する」
  5. Microsoft Learn「Microsoft Entra のデータ保持」
  6. Microsoft Learn「Exchange 管理センターのメッセージ追跡」
  7. Microsoft Learn「制限付きエンティティ ポータルからブロックされたユーザーを削除する」
  8. Microsoft Learn「外部メールの自動転送を制御する」
  9. Microsoft Learn「Microsoft Entra ID のセキュリティの既定値群」
  10. Microsoft サポート「Outlook でルールを使用してメール メッセージを管理する」