セキュリティの手引き
ビジネスメール詐欺で振り込んでしまったら|最初に銀行へ
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:気づいたら、最初の5分で振り込んだ銀行に電話し、送金の取り消しか「組戻し」を頼みます。お金が引き出される前が勝負です。次に警察へ相談し、偽のメールを消さずに保存します。取引先への連絡と原因の調べは、そのあとです。
気づいてからの順番- 5分銀行に電話取り消し・組戻し
- 当日警察に相談メールを持って
- 当日証拠を残すメールとヘッダー
- そのあと取引先と原因メール以外で連絡
1. 銀行に電話する(最初の5分)
警察庁もIPAも、まず送金元の銀行に連絡して、送金のキャンセルや組戻しを頼むよう案内しています。メールや問い合わせフォームではなく、電話で伝えます。
なぜ銀行が最初か振り込んだ相手の口座に入る
時間がたつ引き出される
その結果戻らなくなる
(銀行への電話で)
△△株式会社の□□です。法人口座から振り込んだ件で、急ぎのお願いです。
取引先を装ったメールにだまされ、詐欺の口座に振り込んだおそれがあります。
送金の取り消しか、組戻しの手続きをお願いします。
■振込日時:○月○日○時ごろ
■金額:○○円
■振込先:○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○ 名義 ○○○○
■警察には、これから相談します(済んでいれば受理番号を伝える)。
台本は例です。実際の振込の内容と違うことは書かず、手元の振込の控えを見ながら伝えてください。
電話の前に手元に置くもの- 振込の控え(日時・金額)
- 振込先の銀行・口座・名義
- 偽のメール
- 会社の口座の情報
組戻しは、受け取った側の同意がないと成り立ちません。手数料がかかり、成り立たなくても返らないと定めている銀行もあります。終わるまで1か月ほどかかる例もあります。
組戻しの前提
海外の口座に送ったときは、取り戻すのがさらに難しいとされています。IPAは、現地の警察へ連絡し、口座の凍結やお金の回収を相談するよう案内しています。回収できた例も、できなかった例もあります。
2. 警察に相談する(当日)
偽のメールを持って、最寄りの警察署かサイバー犯罪の相談窓口へ行きます。先に電話で日時と持ち物を相談しておくと、話が早く進みます。警察の相談専用電話は「#9110」です。
警察への相談先1最寄りの警察署先に電話で予約
2サイバー犯罪相談窓口都道府県警察
3#9110警察の相談専用電話
国内の口座に振り込んだときは、「振り込め詐欺救済法」の対象になることがあります。振り込め詐欺に限らず、振込を使った詐欺が対象です。金融庁は、警察と振込先の金融機関に連絡するよう案内しています。
救済法の流れ- 1口座を止める金融機関の取引停止
- 2公告預金保険機構のサイト
- 3申請期間は30日以上
- 4分配被害額に応じて
戻るのは、止めた口座に残っているお金からです。手続きは預金保険機構のサイトで公告され、申請の期間は30日以上です。被害者が複数なら、被害額に応じて分けられます。犯人が引き出したあとだと、支払いは受けられません。支払いまでは、半年以上かかるのが一般的とされています。
救済法の目安30日以上申請の期間公告のあと
半年以上支払いまで一般的な目安
引き出されたあとは戻らない
3. 証拠を残し、取引先と社内に知らせる
攻撃者から届いたメールと、メールのヘッダーの情報を保存します。取引先にも、同じように保存を頼みます。やり取りを時系列にまとめておくと、警察や銀行に聞かれたときに答えられます。
残すもの- 偽のメール(消さない)
- メールのヘッダー
- やり取りの時系列
- 振込の控え
- 取引先:前から控えている電話番号で知らせます。どちらのメールが乗っ取られたのか、まだ分からないためです。
- 社内:社長と経理の責任者へ。社員が関わっているおそれもあるので、調べる人は最小限にします。
取引先への連絡
4. 原因を調べる(自社と取引先の両方)
関係者のパソコンのウイルスチェックと、メールのパスワードの変更をします。メールに海外などからの不審なログインがないか、外部への転送や、普段見ないフォルダへの振り分けがないかも確かめます。
原因の調べ方1ウイルスチェック関係者のパソコン
2パスワード変更使い回しをやめる
3ログイン履歴海外からがないか
4転送と振り分け知らない設定
調べても原因が分からないことは多いとされています。自社のメールが乗っ取られていたときは、メールが乗っ取られたらと取引先に不審メールが送られたらを見てください。
よくある質問
夜や休日に気づきました。月曜まで待ってもいいですか?
待たずに、取引のある銀行の連絡先へすぐ電話してください。つながらないときも、警察への相談と証拠の保存は先に進められます。
本来の取引先への支払いは、もう一度しないといけませんか?
契約の内容や、どちらのメールが乗っ取られたかで変わります。取引先と話す前に、弁護士に相談してください。
次から防ぐには?
「振込先の
変更は、控えの番号への電話と2人の承認がそろうまで払わない」というルールが確実です。ひな形は振込先変更メールの見分け方にあります。
参考にした資料
- 警察庁「ビジネスメール詐欺」
- IPA「ビジネスメール詐欺 もし被害に遭ってしまったら」
- IPA「ビジネスメール詐欺 FAQ」
- 警視庁「ビジネスメール詐欺」
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」
- 政府広報オンライン「警察相談専用電話 #9110」ほか防犯の相談窓口
- 金融庁「振り込め詐欺救済法に基づく返金制度」
- 金融庁「振り込め詐欺救済法の概要」
- PayPay銀行「組戻し」(銀行の手続きの説明の一例)