セキュリティの手引き
フィッシングサイトに会社のパスワードを入力してしまったら|最初の1時間でやること
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:入れてしまったら、正規の画面からパスワードを変え、電話で管理者に知らせます。管理者はログイン中の状態を切り、転送設定と受信ルールを確かめます。同じパスワードを使っている所も変えます。確認コードまで入れたなら、入られた前提で動きます。
最初の1時間の順番- 1変える正規の画面から
- 2知らせる電話で管理者へ
- 3切るログイン中の状態
- 4確かめる転送設定・受信ルール
入力した本人がやること(最初の15分)
何を入れたかで、急ぎ方が変わります。迷ったら重いほうとして扱います。
| 入れたもの | やること |
| IDとパスワード | 正規の画面から変える。管理者に知らせる |
| 確認コードも入れた、承認も押した | 入られた前提で、管理者にすぐ止めてもらう |
| ログインできなくなった | 変えられたおそれ。管理者にアカウントの停止を頼む |
| カード番号・口座の情報 | カード会社・銀行にすぐ連絡する |
- 正規の画面から変える:ブックマークか公式アプリから入ります。メールのリンクは使いません。
- 使い回しも変える:同じパスワードの所は、すべて変えます。
- 電話かチャットで知らせる:メールが乗っ取られているかもしれないためです。
知らせる前にメモすること- 入れた時刻
- メールの件名と開いたURL
- 入れたもの(ID・コード)
- 使った端末
届いたメールは消さずに残す
管理者がやること(〜1時間)
Microsoft 365とGoogle Workspaceは、乗っ取りへの手順を公開しています。要点は下の表のとおりです。画面の名前は変わることがあります。
| やること | Microsoft 365 | Google Workspace |
| 止める | アカウントを無効にする(できなければパスワードをリセット) | ユーザーを停止する(ログインCookieとOAuthトークンもリセットされる) |
| 切る | ユーザーのサインインセッションを取り消す | [ユーザー]→[セキュリティ]→[ログイン Cookie]→[リセット] |
| 端末・アプリ | 多要素認証の登録デバイスと、同意済みのアプリを確かめる | OAuthトークンを取り消し、アプリ パスワードを消す |
| 転送 | メールの転送と受信トレイのルールを確かめる | フィルタと転送の設定を確かめる |
| 記録 | サインインログと監査ログを見る | 監査ログ、ログイベント、メールログ検索を見る |
新しいパスワードを、そのアカウントのメールで本人に送らないでください。Microsoftの手順でも、攻撃者がまだ読めるおそれがあるとして注意されています。
戻すときの注意やらない
- ×新しいパスワードをメールで送る
- ×転送設定を見ずに戻す
やる
- ○電話や対面で伝える
- ○転送とルールを消してから戻す
戻すときは、多要素認証を必ず入れます。Googleは2段階認証とセキュリティキーの登録を、Microsoftは多要素認証の適用を勧めています。
止めてから戻す止める停止・セッションを切る
直す転送・ルール・アプリ
戻す多要素認証を入れて再開
入られたかの見分け方
Microsoftは、乗っ取られたメールアカウントによくある症状として、次のようなものを挙げています。
入られたサイン1見覚えのないルール受信トレイ
2外部への自動転送最近足されたもの
3身に覚えのない送信送信済み・削除済み
4送信のブロック急に送れなくなる
パスワード変更やロックが続くのもサイン
1つでも当てはまれば、取引先への連絡を考えます。連絡の順番と例文はメールアカウントが乗っ取られたらにまとめています。
報告が要るかを決める
個人情報保護委員会は、不正アクセスなど「不正の目的」によるおそれがある漏えい等を、報告の対象にしています。メールに顧客の個人データがあれば、この形に当たることがあります。
報告が要るかの目安メールに顧客の個人データがあり、入られたおそれは?
ある報告の対象になりうる
分からないログで確かめ、記録を残す
ない社内の記録で終える
報告の期限は、発覚から3〜5日以内の速報と、不正の目的によるおそれがある場合は60日以内の確報です。判断に迷うところは弁護士に相談してください。詳しくは漏えいの報告の手引きにあります。
個人情報保護委員会への報告- 3〜5日以内速報発覚から
- 60日以内確報不正の目的のおそれがある場合
社内への報告は、下のひな形を使えます。分からない欄は「確認中」と書きます。実態と違う内容をそのまま写さないでください。
【報告】フィッシングサイトにパスワードを入れました
・気づいた時刻:
・メールの件名/差出人:
・開いたURL:
・入れたもの:ID/パスワード/確認コード/承認を押した
・対象のアカウント:(例:会社のMicrosoft 365)
・使い回していた所:
・今の状態:パスワードを変えた/管理者に連絡した/確認中
よくある質問
多要素認証を入れていれば大丈夫ですか?
偽サイトに
確認コードを入れたり、承認を押したりした場合は、ログイン中の状態ごと奪われることがあります。手口はAitB攻撃の手引きにまとめています。コードを入れたなら、入られた前提で管理者に止めてもらってください。
偽サイトはどこかに知らせたほうがいいですか?
フィッシング対策協議会に、Webフォームかメールで報告できます。情報を入れてしまった場合の相談は、協議会のサイトにある相談窓口の一覧から探すよう案内されています。
入れた本人をどう扱えばいいですか?
責めないことを先に伝えてください。報告が遅れるほど、止めるのも遅れます。すぐに知らせた人がいたことを、社内に共有するのも一つの方法です。
参考にした資料
- Microsoft Learn「侵害されたメール アカウントへの対応」
- Google Workspace 管理者ヘルプ「不正使用されたアカウントを特定して保護する」
- Google Workspace 管理者ヘルプ「管理対象の Google アカウントからユーザーをログアウトさせる」
- フィッシング対策協議会「今すぐできるフィッシング対策」
- フィッシング対策協議会「フィッシングの報告」
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」