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セキュリティの手引き

中小企業のセキュリティ対策に使える補助金・助成金(2026年10月時点)|東京都と国の制度のちがい

公開:2026年10月15日/最終更新:2026年10月15日/Moshiru 岡﨑 悠太

結論:2026年10月時点で中小企業が使いやすいのは2つです。東京都の「サイバーセキュリティ対策促進助成金」は、UTMやEDRなどの機器・ソフトの費用の1/2(上限500万円)を助成し、次は第3回(2027年1月8日〜15日)の受付です。国の「デジタル化・AI導入補助金2026」のセキュリティ対策推進枠は、IPAの「お助け隊サービス」の利用料(最大2年分)の1/2(小規模事業者は2/3)、5万〜150万円を補助し、直近の締切は2026年10月30日17時です。どちらもSECURITY ACTIONの宣言とGビズIDプライムが先に要り、交付決定の前に契約・発注した分は対象外です。

2つの制度
都東京都の助成金機器・ソフトの費用の1/2。上限500万円
国国の補助金お助け隊サービスの利用料。5万〜150万円

この記事は制度の解説です。Moshiruは補助金・助成金の申請の代行は行いません。申請書の作成を外の人に頼むなら、行政書士に相談してください。制度は回ごとに変わることがあるので、申請の前に必ず公式の募集要項で確かめてください。

2つの制度をくらべる

いちばん大きなちがいは、何にお金が出るかです。東京都は「自社で選んだ機器やソフト」、国は「IPAのリストに載ったお助け隊サービス」に限られます。

項目東京都の助成金国の補助金(セキュリティ対策推進枠)
対象都内で1年以上事業をしている中小企業・個人事業主全国の中小企業・小規模事業者
お金が出るものUTM・EDR・本人認証などの機器やソフト、同じ内容のクラウド、標的型メール訓練お助け隊サービスの利用料(最大2年分)
割合と金額1/2以内、10万〜500万円1/2以内(小規模事業者は2/3以内)、5万〜150万円
SECURITY ACTION二つ星が必須一つ星か二つ星が必須(二つ星は加点)
次の受付第3回:2027年1月8日〜15日6次締切:2026年10月30日17時

同じ経費で、国と都の両方からお金を受け取ることはできません。東京都の募集要項では、同じ内容の経費で国や区市町村から補助を受けていないことが要件になっています。

東京都の「サイバーセキュリティ対策促進助成金」

東京都中小企業振興公社が行う助成金です。令和8年度(2026年度)は3回の受付があり、第1回と第2回はすでに終わりました。公社のページには「第3回募集のご案内は今冬掲載予定」とあります。

東京都の助成金(令和8年度)
1/2以内助成率
500万円上限下限は10万円
4か月助成対象期間

東京都中小企業振興公社 募集要項(第2回)

使える会社:中小企業者、個人事業主、中小企業団体などで、都内に本店か支店の登記がある(個人は開業届を出して都内で営業している)こと、都内で実質1年以上事業をしていることが条件です。金融業・保険業、農林水産業は対象外です。この助成金を以前に受けたことがある会社も申請できません。

SECURITY ACTION:申請日までに二つ星を宣言し終えていることが必須です。二つ星は、情報セキュリティ基本方針を作って公開してから申し込みます。宣言のしかたはSECURITY ACTIONの一つ星・二つ星の宣言のしかたにまとめています。

お金が出るもの:主な目的がサイバーセキュリティの向上である、次の機器・ソフトです。ライセンス料は5年分まで、クラウドは助成対象期間内に一括で払う分(最長12か月)が対象です。

東京都の助成金で対象になるもの
  • UTM・ファイアウォール・VPN
  • ウイルス対策・EDR
  • 本人認証・ログ管理・暗号化
  • 最新のサーバーOS
  • 標的型メール訓練

募集要項「6 助成対象事業」より

お金が出ないもの:募集要項には、対象外の経費がはっきり書かれています。とくに次の点に気をつけてください。

お金が出る・出ない

対象外

  • ×セキュリティ診断
  • ×コンサル・申請書づくり
  • ×パソコン・スマホ
  • ×リース・中古品

対象

  • ○UTM・EDRなど
  • ○同じ内容のクラウド
  • ○標的型メール訓練

東京都中小企業振興公社 募集要項より

情報通信業の会社:本業として当然備えるべき対策と判断されると不採択になります。審査の資料には、システム開発の受託やオンラインサービスの提供をしている会社、他社にセキュリティ対策を提案している会社が「不採択となりやすい例」として載っています。

申請のしかた:国の電子申請システム「Jグランツ」だけで受け付けます。郵送やメールでは出せません。Jグランツを使うにはGビズIDプライムが必要です。見積書は、同じ製品について2社以上から取って出します。

令和8年度の受付と対象期間
  1. 第1回受付終了。対象期間は8月〜11月
  2. 第2回受付終了。対象期間は12月〜3月
  3. 第3回2027年1月8日〜15日に受付。交付決定は3月下旬、対象期間は4月〜7月

発注・契約・購入・支払いは、すべて助成対象期間の中で行います。交付決定の前に発注・契約・設置したものは対象になりません。予算の状況で、受付が早く終わることもあります。

国の「デジタル化・AI導入補助金2026」セキュリティ対策推進枠

以前の「IT導入補助金」が、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」になりました。その中の「セキュリティ対策推進枠」が、セキュリティ向けの枠です。

セキュリティ対策推進枠
5万〜150万円補助額
1/2以内補助率小規模事業者は2/3以内
最大2年分サービス利用料

デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領

お金が出るもの:IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っていて、かつ「IT導入支援事業者」が事務局に登録したサービスだけです。IT導入支援事業者は、ふつうに言うと「補助金の窓口役として登録された売り手」です。自分で選んだ別の製品や、診断・コンサルは対象になりません。

小規模事業者:補助率が2/3になるのは、常時使う従業員が、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で5人以下、製造業その他で20人以下の会社と個人事業主です。

主な要件:公募要領では、次のすべてが求められます。

  1. GビズIDプライムを取っている:国の電子申請に使うアカウントです。
  2. SECURITY ACTIONを宣言している:一つ星か二つ星のどちらかが必須です。二つ星なら審査で加点されます。2026年4月から始まった新しい管理システムでの宣言で申請できます。
  3. 3年間の事業計画を立てる:労働生産性(ふつうに言うと、社員1人あたりの稼ぐ力)を、年平均1%以上上げる計画を作って実行します。
  4. 最低賃金を守っている:直近の月で、事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上であることが要件です。
国の補助金の流れ
  1. 1支援事業者とサービスを選ぶ
  2. 2GビズIDプライムを取る
  3. 3申請マイページで申請
  4. 4交付決定のあとに契約

締切:事業スケジュールのページで、セキュリティ対策推進枠の6次締切は2026年10月30日(金)17時、交付決定は12月10日(予定)、事業実施期間と実績報告の期限は2027年5月31日(予定)です。7次締切もあると書かれていますが、日程は「確定している募集回のみ公表」とされています。7次以降は公式サイトで確かめてください。

6次締切の日程
  1. 10月30日交付申請の締切(17時)
  2. 12月10日交付決定(予定)
  3. 2027年5月31日事業実施と実績報告の期限(予定)

申請はセキュリティ対策推進枠で1社1回です。交付決定の前にサービスを契約・発注した場合は、補助の対象になりません。

「お助け隊サービス」とは

IPAが基準を決め、それを満たした民間のサービスに「お助け隊マーク」を付ける制度です。2021年春に始まりました。中小企業が自分で全部そろえるのが難しい守りを、ひとまとめにして安く出すことが狙いです。

お助け隊サービスに入っているもの
1相談窓口困ったときに聞ける
2異常の監視UTMやEDRで見張る
3初動対応駆けつけ支援など
4簡易サイバー保険突発の費用を補償

IPA「お助け隊サービス基準」より

見張り方は、会社のネットの出入口にUTMなどを置く「ネットワーク監視」、パソコン1台ずつにEDRなどを入れる「端末監視」、その両方の3種類から選べます。

IPAの「お助け隊サービス基準(2.0版)」では、1類のサービスの月額は、ネットワーク監視で月1万円(税抜)以下、端末監視で1台あたり月2,000円(税抜)以下と決められています。端末1台から契約できることも条件です。

お助け隊サービス(1類)の価格の上限
月1万円ネットワーク監視税抜・以下
月2,000円端末監視1台あたり税抜・以下

IPA お助け隊サービス基準 2.0版

どのサービスがあるかは、IPAのユーザー向けサイトで地域や監視の種類から探せます。補助金を使うなら、そのサービスがIT導入支援事業者から補助金の対象として登録されているかを、売り手に必ず確かめてください。

そのほかの制度と、対象になりにくい費用

都道府県・市区町村・商工会議所が、独自の補助金を出していることもあります。IPAの「SECURITY ACTIONを申請・加点要件としている補助金・助成金等の一覧」には、たとえば横須賀商工会議所の「セキュリティ支援補助金」(二つ星)や、宮崎県の「産業DX推進事業費補助金」(二つ星)が載っています。

自社の地域の制度は、中小機構のJ-Net21「支援情報ヘッドライン」で、地域とキーワードを入れて探せます。IPAの一覧も「IPAが確認した範囲のため、掲載されていないものもあります」としています。

地域の制度の探し方
  1. 1J-Net21で地域を選ぶ
  2. 2「セキュリティ」で探す
  3. 3IPAの一覧も見る
  4. 4公式の要項で確かめる

診断やコンサルの費用:東京都の助成金では、セキュリティ診断もコンサルティングも対象外と明記されています。国のセキュリティ対策推進枠も、お助け隊サービスの利用料だけが対象です。Webサイトの診断などは、多くの場合、自社の費用で行うことになります。診断の費用の目安は脆弱性診断の費用にまとめています。

よくあるつまずき

  1. 交付決定の前に契約・発注してしまう:東京都も国も、交付決定の前に契約・発注・購入したものは対象外です。見積もりは取ってよいですが、注文は交付決定を待ちます。
  2. GビズIDプライムが間に合わない:東京都の募集要項は「原則2週間程度」かかるとしています。デジタル庁のGビズIDのページでは、書類で申し込むと審査は最大1か月です。法人の代表者がオンラインで申し込む場合は速やかに審査されます。
  3. 二つ星の手続きが申請日に終わっていない:東京都の助成金では、IPAからの手続き完了のメールなどを申請日より前に受け取っている必要があります。「自己宣言IDのお知らせ」のメールだけでは申請できません。
  4. 見積もりが1社だけ:東京都は、同じ製品で2社以上の見積書が必要です。数量や価格が会社の規模に見合っているかも審査されます。
  5. 支払いのしかた:東京都は、普通預金・当座預金からの振込以外(現金・手形・電子マネーなど)で払った分は対象外です。
申請の前にそろえるもの
  • SECURITY ACTIONの宣言
  • GビズIDプライム
  • 見積書(東京都は2社以上)
  • 直近の確定申告書
  • 交付決定まで注文しない

SECURITY ACTIONは、IPAのWebの管理システムから申し込み、ロゴマークは無料で使えます。2026年4月1日からは、宣言の申込みにもGビズID(プライムかメンバー)が必要になりました。GビズIDを先に取っておくと、宣言と補助金の申請の両方に使えます。

どちらを検討するか
都内で1年以上事業をしている?
はい機器を選ぶなら東京都、監視をまとめて頼むなら国
いいえ国の枠と、地域の制度を探す

よくある質問

東京都の助成金で、パソコンを買い替えられますか?
できません。募集要項のよくある質問で、パソコンは汎用性が高いため対象外と答えています。パソコンに入れるEDRなどのソフトは、対象の製品群に入っています。
Webサイトの脆弱性診断に補助金は使えますか?
東京都の助成金では、セキュリティ診断の費用は対象外です。国のセキュリティ対策推進枠も、お助け隊サービスの利用料が対象です。地域の独自制度で対象になる場合もあるので、J-Net21などで探してください。
申請書を代わりに書いてもらえますか?
Moshiruは申請の代行を行いません。報酬を受け取って官公署に出す書類を作るのは行政書士の業務です。東京都の助成金では、GビズIDの委任機能を使い、行政書士などがJグランツで代理申請することもできます。ただし、確認と提出は申請する会社自身が行います。
国と東京都の両方に申し込めますか?
経費が別なら、それぞれ申し込めます。同じ経費で両方から受け取ることはできません。東京都の募集要項では、両方で交付決定を受けた場合はどちらかを取り下げるとしています。

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参考にした資料

  1. 東京都中小企業振興公社「サイバーセキュリティ対策促進助成金」
  2. 東京都中小企業振興公社「令和8年度 サイバーセキュリティ対策促進助成金 募集要項(第2回募集)」
  3. 東京都中小企業振興公社「審査(審査の視点・注意点)編」
  4. 東京都中小企業振興公社「標的型メール訓練について」
  5. デジタル化・AI導入補助金2026「セキュリティ対策推進枠」
  6. デジタル化・AI導入補助金2026「事業スケジュール」
  7. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(セキュリティ対策推進枠、2026年10月9日)
  8. IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス制度」
  9. IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス ユーザー向けサイト」
  10. IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス基準(2.0版)」説明資料
  11. IPA「SECURITY ACTIONを申請・加点要件としている補助金・助成金等の一覧」
  12. IPA「SECURITY ACTIONとは?」
  13. IPA「SECURITY ACTION 自己宣言の申込方法」
  14. デジタル庁「GビズID」
  15. 中小機構 J-Net21「支援情報ヘッドライン」