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発車オーライネットの情報流出(2026年10月公表)|何が起きて、自社で何を確かめるか

公開:2026年10月16日/最終更新:同/Moshiru 岡﨑 悠太

こんなときに役立ちます

  • 予約や会員管理を外部のサービスに任せていて、ニュースが気になったとき
  • 取引先とシステムをつないでいて「うちは大丈夫?」と聞かれたとき

読み終えたあと、社内でこう言えます

「連携の口と委託先の連絡の流れを、3点確かめました」

結論:2026年10月15日、株式会社工房が、高速バスの予約サイト「発車オーライネット」での予約情報の流出を公表しました。

場所は、バス会社などとつなぐ連携用APIサーバーです。流出した可能性があるのは最大8,341件(最終確認中)です。

自社では、連携の口、委託先からの連絡、お客さまへの注意喚起の3つを確かめます。

自社で確かめる3つ
1連携の口API・つなぎ先と鍵の持ち主
2委託先の連絡事故を誰が受けて回すか
3お客さまへ不審なSMSの注意文

何が起きたか(公表された事実)

同社の2026年10月15日のお知らせを要約します。正式な題名は、末尾の参考にした資料にあります。

項目公表された内容
公表日2026年10月15日
対象利用日時が2026年7月16日〜11月29日の、一部の予約情報
件数最大8,341件、対象人数5,614件(いずれも最終確認中)
情報の種類カタカナの予約名(氏名)、電話番号、予約バス情報(乗車日、路線、予約番号など)
含まれないものクレジットカード情報、銀行口座情報、住所、メールアドレス、パスワード等は該当サーバーに保存されていない
原因外部取引先との連携用APIサーバーへの第三者による不正アクセス
いまの状況具体的な被害の報告は受けていない。該当サーバーの対策を完了し、不正アクセスの継続や拡大はないと確認

不審なアクセスは9月16日から19日にあり、10月13日に検知したと発表しています。検知後、すぐに該当サーバーの通信を遮断しました。

公表された時系列
  1. 9月16日〜19日不審なアクセス連携用APIサーバー
  2. 10月13日検知・遮断漏洩の痕跡を確認
  3. 10月15日公表相談センターは19日から

届出と報告は、個人情報保護委員会への報告、警察署への被害届、連携する各バス事業会社と旅行サイト運営会社への報告です。

公表された届出と報告
  1. 1委員会へ報告個人情報保護委員会
  2. 2被害届管轄の警察署
  3. 3連携先へ報告バス会社・旅行サイト

入口と、広がった理由

公表された範囲では、侵入の場所は「外部取引先連携用APIサーバー」です。どの手口で入られたかは書かれていません。

この件で目を引くのは、同じ日に利用するバス会社も自社のお知らせを出したことです。たとえば防長交通は、自社分を最大12件(最終確認中)と公表しています。

委託先の事故が届く流れ
運営会社連携用サーバーに不正アクセス
利用する会社自社のお客さまの予約も対象
その結果利用する会社もお知らせを出す

自社でシステムを持っていなくても、預けた先の事故で、自社のお客さまへの説明が必要になります。広がり方はサプライチェーンリスクで詳しく扱っています。

一般論として、JPCERT/CCは10月8日の注意喚起で、管理用APIの悪用を挙げています。盗まれたAPIキーを使う例も含みます。この件の入口とは限りません。

APIの守り(注意喚起より)
  • 時間あたりの回数を絞る
  • 全ての口で利用者を確かめる
  • 鍵の権限は最小にする
  • 鍵に期限を付け、すぐ止められる

一般の対策で、この件の原因とは限らない

自社で確かめる3つ

取引先や外部のサービスとデータをつないでいる会社は、次の3つを確かめます。

  1. 連携の口を一覧にする:API、自動のファイル受け渡し、共有フォルダなど、外とつながる口を書き出します。鍵(APIキー)を誰が持ち、いつ作ったかも書きます。
連携の口の持ち方

見直す形

  • ×鍵に期限がない
  • ×何でも読める権限

目指す形

  • ○鍵に期限と持ち主
  • ○必要な項目だけ読める

辞めた人や前の委託先が作った鍵が残っていれば、止めます。棚卸しの進め方はアカウントの棚卸しと同じです。

  1. 委託先の事故を受ける流れを決める:予約や会員管理を任せている先から連絡が来たとき、誰が受けて誰に回すかを決めます。契約に報告の期限があるかも見ます。
委託先から連絡が来たら
  1. 1受ける担当者が窓口
  2. 2確かめる自社分の件数と項目
  3. 3決めるお知らせと報告の要否

確かめ方は委託先のセキュリティを確かめる方法、報告の要否は漏えいしたときの報告と通知にあります。

  1. お客さまへの注意文を用意する:電話番号が漏れると、不審なSMSや電話が届くおそれがあります。同社も、SMSで暗証番号やカード情報を尋ねることはないと呼びかけています。
お知らせを出すか
自社のお客さまの情報が対象?
はい件数と項目を確かめて案内
いいえ・不明委託先に自社分を問い合わせ

注意文の例はお詫び文の例文集にあります。自社分の件数が分かる前に、ひな形だけ用意しておくと慌てずに済みます。

取引先のチェックシートでは、ここに効く

取引先から届くチェックシートでも、委託先と事故対応の設問はほぼ必ず聞かれます。

設問の例今回の確認答え方
委託先を管理していますか委託先とつなぎ先の一覧回答例
インシデント対応の体制はありますか委託先から連絡が来たときの流れ答え方
ログを保管していますか連携の口への不審なアクセスに気づく回答例

連携の口の一覧は、委託先の設問の添付資料にもなります。作った日付を入れておきます。

担当者のあなたにとって

委託先の事故は、自社のせいではなくても説明を求められます。確かめた範囲を先に伝えておけば、一人で判断を背負わずに済みます。

件名:発車オーライネットの件を受けた自社の確認

〇〇さん
10月15日公表の件(連携用APIサーバーへの不正アクセス、
最大8,341件・最終確認中)を受けて、3点を確かめました。

1. 外部とつながる連携の口(API・ファイル連携など)
 → 〇件。期限のない鍵:〇件(〇月〇日までに見直し)
2. 委託先から事故の連絡が来たときの受け手
 → 窓口:〇〇 契約上の報告期限:〇〇
3. お客さまへの注意文のひな形
 → 用意済み/〇月〇日までに用意

判断をお願いしたいこと:1の鍵を止めてよいか
出典:株式会社工房のお知らせ(2026年10月15日)

原因の手口は公表されていないので、報告文でも推測は書きません。続報が出たら、同じ形で追記します。

よくある質問

APIを使っていない会社にも関係ありますか?
あります。予約、通販、会員管理などを外部のサービスに任せていれば、その先の事故で自社のお客さまが対象になり得ます。まずは任せている先の一覧を作ってください。
委託先の事故でも、自社がお知らせを出すのですか?
今回も、利用するバス会社が自社のお知らせを出しています。出すかどうかは、自社のお客さまが対象か、件数と項目を委託先に確かめてから決めます。
保存していない情報は漏れないのですか?
今回の発表では、カード情報や住所などは該当サーバーに保存されていないとしています。連携の口に置く項目を必要なものに絞ることは、一般に被害を小さくする守りになります。

この記事のまとめ

次に読む

  1. 次の場面:取引先に聞かれたチェックシート「ログを保管していますか」の回答例クラウド・メール・サーバーのログを分けて、期間まで書く
  2. 同じ場面・BPO・人材委託先のセキュリティを確かめる方法取引先に聞くべき質問20と、チェックシートの作り方(発注側向け)。
  3. 教科書で仕組みから会社のセキュリティ教科書(スキルツリー)基本の考え方から順に、どこまで読んだかが分かります

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参考にした資料

  1. 株式会社工房「【お詫びとご報告】『発車オーライネット』連携用APIサーバーへの不正アクセスによる個人情報流出について」(2026年10月15日)
  2. 防長交通株式会社「バスチケット予約ポータルサイト『発車オーライネット』で発生したサーバーへの不正アクセスによる個人情報の流出について」(2026年10月15日)
  3. JPCERT/CC「直近で相次いでいる国内組織における不正アクセスに関する注意喚起」(2026年10月8日公開、10月9日更新)