セキュリティの手引き
セキュリティ事故の相談先の使い分け|警察・IPA・JPCERT・個人情報保護委員会・民間
公開:2026年10月14日/最終更新:2026年10月14日/Moshiru 岡﨑 悠太
結論:相談先は「何をしてほしいか」で選びます。迷ったらIPAの企業組織向け相談窓口(メール)へ。犯罪として調べてほしいなら警察、攻撃元への連絡はJPCERT/CC、個人データの漏えいの報告は個人情報保護委員会です。調査や復旧の作業そのものは、民間の調査会社や保守会社に頼みます。
してほしいことで選ぶ1迷ったらIPA企業組織向け窓口
2犯罪として警察
3攻撃元への連絡JPCERT/CC
4漏えいの報告個人情報保護委員会
5調査・復旧の作業調査会社・保守会社
窓口ごとに、できること・できないこと
各窓口の公式ページの説明を、1つの表にまとめました。受付の方法や連絡先の詳細はスポットのインシデント対応の「公的な相談窓口」にも載せています。
| 窓口 | できること | できないこと・注意 |
| 警察(警察庁のオンライン窓口・都道府県警察) | 通報・相談・情報提供を受け付け、選んだ都道府県警察に通知されます。犯罪として捜査します。 | オンラインの窓口や電話相談では被害届は出せません。被害届は会社の所在地の警察署へ。 |
| IPA 企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口 | 起きていることを聞き取り、被害の可能性を助言。インシデント対応をする専門業者の一覧を紹介。 | 事案の調査や解析はしません。連絡はメールのみ。 |
| IPA 情報セキュリティ安心相談窓口 | 個人のパソコンやスマホのウイルス・不正アクセスの技術的な相談。 | 個人向け。会社の事故は企業組織向け窓口へ。端末やログの調査、捜査の要望は受けません。 |
| JPCERT/CC インシデント報告 | 攻撃元やサイトの管理者に連絡し、対処を依頼。改ざんサイトやフィッシングサイトの停止依頼。必要に応じて調査の支援。 | 捜査や取り締まり、法的な代理はしません。原則として電話の報告は受けません。 |
| 個人情報保護委員会 漏えい等報告 | 個人データの漏えい等の報告を受け付けます(4つの場合は義務)。 | 相談の窓口ではなく、届け出の窓口です。 |
| 個人情報保護法相談ダイヤル | 個人情報保護法の一般的な質問に、ガイドラインやQ&Aに沿って答えます。 | 適法か違法かの判断はしません。電話のみ、平日9:30〜17:30。 |
| 民間の調査会社 | パソコン・サーバーの調査、ログの分析、マルウェアの分析など。JNSAの一覧で探せます。 | 有料。受付時間や事前の契約の要否は会社ごとに違います。 |
| 保守会社・制作会社 | 機器の切り離し、設定の確認、ログの取り出し、復旧の作業。 | 契約の範囲を確かめます。 |
公的な窓口は、助言、連絡の調整、捜査、報告の受付が役目です。パソコンやサーバーを実際に調べて元に戻す作業は、民間に頼むと考えておくと迷いません。
公的な窓口と民間の役目公的な窓口
- 1助言・業者の紹介
- 1攻撃元への連絡
- 1捜査
- 1報告の受付
状況別の選び方
何が起きたか分からない
IPAの「サイバーセキュリティ相談・届出窓口一覧」は、連絡先に迷ったら企業組織向けの相談窓口に連絡するよう案内しています。並行して、機器を入れた保守会社に状況を伝えます。
まずどこへ?何が起きたか分かっている?
分からないIPA企業組織向け窓口と保守会社へ
分かっている下の目的別に選ぶ
不正アクセスやランサムウェアの被害にあった
犯罪として扱ってほしいなら警察に相談・通報します。持っていくものは警察に相談するときの準備にまとめています。個人データが関わるなら、警察とは別に委員会への報告が要るかを確かめます。
届け出は別々に進める警察捜査のための相談
委員会漏えいの報告
注意片方で済むわけではない
自社のサイトが改ざんされた、偽サイトを作られた
JPCERT/CCは、改ざんされたサイトやフィッシングサイトについて、管理者などへの対処の依頼を受け付けています。自社のサイトの復旧は、制作会社や保守会社と進めます。
改ざん・偽サイトのとき- 1JPCERT/CCへ報告Webフォーム・メール
- 2制作会社と復旧自社サイト
- 3必要なら警察へ犯罪として
個人データが漏れたかもしれない
4つの場合に当たれば、委員会への報告と本人への通知が義務です。期限と手順は個人情報が漏れたときの報告と通知、報告が要らない場合は報告しないとどうなる?を見てください。
委員会への報告の期限3〜5日速報知ってから概ね
30日確報不正目的のおそれは60日
サイバー保険に入っている
保険会社か代理店にも早めに連絡します。商品によっては、専門の業者を紹介するサービスが付いています。流れはサイバー保険の請求の流れへ。法律の判断が要るとき(賠償、契約、公表の範囲)は、弁護士に相談してください。
公的な窓口のほかに連絡する先- 保守会社・制作会社
- 保険会社・代理店
- 調査会社(必要なら)
- 弁護士(法律の判断)
連絡の順番の目安
相談先が多いほど、同じ説明を何度もすることになります。最初に時系列のメモを1枚作り、それを各窓口に送ると、話が食い違いません。社外への連絡の窓口は1人に絞ります。
連絡の順番の目安- 気づいたら社内の責任者・保守会社被害を止める
- 当日IPA・警察・保険会社必要なところへ
- 3〜5日委員会へ速報報告が要る場合
よくある質問
公的な窓口に相談すると、お金はかかりますか?
IPA、JPCERT/CC、警察の各窓口のページに、相談の料金の記載はありません。調査会社の調査は有料です。JNSAの一覧では、相談と見積りの作成を無償とする会社が多く載っています。
24時間受け付けている公的な窓口はありますか?
オンラインの窓口やメールはいつでも送れますが、返事は受付時間内になります。たとえば警視庁のサイバー犯罪の電話相談は平日8:30〜17:15です。命に関わる脅迫などは110番です。
警察に相談したら、委員会への報告は要りませんか?
要ります。警察への相談と、個人情報保護委員会への報告は別の手続きです。報告が要るかどうかは、4つの場合に当たるかで判断します。
参考にした資料
- IPA「サイバーセキュリティ相談・届出窓口一覧」
- IPA「企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口」
- IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」
- 警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」
- 警視庁「サイバー犯罪の相談」
- JPCERT/CC「インシデント報告」
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
- 個人情報保護委員会「個人情報保護法相談ダイヤル」
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-5
- JNSA「サイバーインシデント緊急対応企業一覧」(2026年4月更新)
- 日本損害保険協会「サイバー保険」