Moshiru

会社のセキュリティ教科書 第10部 10-5

特定電子メール法とは|メルマガの同意と情報流通プラットフォーム対処法

公開:2026年10月15日/最終更新:同/Moshiru 岡﨑 悠太

こんなときに役立ちます

  • メールマガジンを配信するとき/ネット上の書き込みへの削除依頼をするとき
  • 展示会で集めた名刺や問い合わせのアドレスに、案内メールを送ってよいか迷ったとき
  • SGやSPREADの勉強で、オプトインや旧プロバイダ責任制限法の改称を整理したいとき

読み終えたあと、社内でこう言えます

「メルマガの同意の記録と配信停止の書き方を、確認しておきました」

結論:特定電子メール法とは、広告や宣伝のメールを、同意のない相手に送ることを原則禁止する法律です。メルマガを送る会社は、事前の同意を得て記録を残し、配信停止の方法と送信者の情報をメールに書く必要があります。ネット上の書き込みについては、旧プロバイダ責任制限法が2025年4月に情報流通プラットフォーム対処法へ改められました。大規模なSNSなどには、削除の申出を受けてから原則7日以内に結果を通知する義務があります。

特定電子メール法はメルマガに同意・記録・表示を求める。情報流通プラットフォーム対処法は大規模SNSに削除申出への7日以内の通知を求める

特定電子メール法は何を決めている?

正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」で、2002年にできました。2008年12月1日の改正で、同意のある相手にだけ送ってよい「オプトイン」方式になりました(総務省「情報通信白書」平成21年版)。

「特定電子メール」とは、会社や商売をする個人が、自分や他人の営業の広告・宣伝のために送るメールです。総務省令で、通常のメールに加え、電話番号あてのショートメッセージ(SMS)も対象とされています。会社が守ることは、次の4つにまとまります。

守ること中身条文
送ってよい相手に限るあらかじめ同意した人、アドレスを自分から通知した人、取引関係にある人などに限る第3条1項
同意の記録を残すいつ、どの方法で同意を得たかを記録し、必要なときに示せるようにする第3条2項
配信停止に従う「もう送らないで」と通知されたら、それ以降は送らない第3条3項
必要な事項を表示する送信者の氏名・名称、配信停止の連絡先、住所、苦情や問い合わせの窓口など第4条

同意の記録は、そのアドレスに最後に送った日から1か月を経過するまで保存します(施行規則)。総務大臣から措置命令を受けた場合は、保存期間が延びることがあります。

メルマガを送ってよい相手は?同意の取り方の例

迷いやすいのは、名刺交換や問い合わせでアドレスを知った相手です。法律では、自分のアドレスを書面などで通知した人にも送れる場合があります。ただし、受け取る側の感じ方は別です。迷ったら、同意を取ってから送るのが安全です。

  1. 申込みフォームに同意欄を置く:「新製品の案内メールを受け取る」のように、何が届くかを書きます。最初からチェックを入れておくと、同意の意思が分かりにくくなります。
  2. 記録を残す:アドレス、同意した日時、同意を得たページや書面を、配信リストと一緒に保存します。
  3. 毎回のメールに表示を入れる:会社名、住所、配信停止のリンクや連絡先、問い合わせ先を本文の末尾に書きます。
  4. 停止の依頼はすぐ反映する:停止したアドレスを配信リストから外し、外した日を記録します。

ネット通販の広告メールには、特定商取引法(第12条の3)にも承諾を得る決まりがあります。通販をしている会社は両方を確認してください。

たとえば社員20人の食品メーカーでは(架空の例)

展示会で300枚の名刺を集め、営業担当が全員に新商品の案内を一斉に送ろうとしました。ここで総務が止め、まず「今後の案内を送ってよいか」を尋ねる1通だけを送りました。同意の返信があった人だけを配信リストに入れ、返信のメールを同意の記録として保存しました。

手間は増えますが、迷惑メールとして報告されにくくなります。メールが相手に届くかどうかは、送信ドメインの認証設定にも左右されます。設定はメール認証の基本にまとめています。

違反するとどうなる?

違反が見つかると、総務大臣と内閣総理大臣(消費者庁)が、送信方法の改善を命じることがあります(措置命令)。罰則がかかるのは、主に次の場合です。

行為罰則
送信元のアドレスなどを偽って送る(第5条違反)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。法人は3,000万円以下の罰金
措置命令に従わない(同意記録の保存に関する命令を除く)同上
同意記録の保存に関する命令に従わない100万円以下の罰金(第35条)

迷惑メールの相談や情報提供は、総務省の委託で日本データ通信協会が運営する「迷惑メール相談センター」が受け付けています。

情報流通プラットフォーム対処法とは?旧プロバイダ責任制限法との違い

ネット上の書き込みで権利を侵害されたときのルールを定めた法律です。2024年5月の改正(令和6年法律第25号)で、2025年4月から今の名前になりました。旧名は「プロバイダ責任制限法」です。中身は大きく3つです。

仕組み中身
事業者の責任の制限(第3条)SNSなどの運営者が、書き込みで権利侵害があると知らなかった場合などは、原則として損害賠償の責任を負わない
発信者情報の開示(第5条・第8条)書き込んだ人を特定するため、運営者に情報の開示を求められる。裁判所の「開示命令」の手続もある
大規模事業者の義務(第20条〜)総務大臣が指定した大規模なSNSなどに、削除申出の窓口の公表、調査、7日以内の通知、削除基準の公表を義務づける

2025年4月以降、YouTube(Google)、Facebook・Instagram(Meta)、X、TikTok、LINEヤフーの各サービスなどが指定されています(総務省)。なお、2026年7月にも改正法が公布され、2027年3月1日に施行される予定です(e-Gov法令検索の附則で確認)。

会社への書き込みを削除依頼するときの手順は?

会社の悪評や、社員になりすましたアカウントを見つけたときの、一般的な進め方です。法的な判断が必要な場面では、弁護士に相談してください。

  1. 記録を残す:書き込みのURL、画面の写し、見つけた日時を保存します。削除されると証拠がなくなるためです。
  2. 運営者に申し出る:サービスの申出窓口から、どの部分がどの権利を侵害しているかを具体的に書いて送ります。指定された大規模事業者は、原則7日以内に削除したかどうかを通知します。
  3. 相談窓口を使う:申し出方が分からないときは、総務省の支援事業「違法・有害情報相談センター」にWebフォームで相談できます。
  4. 発信者を特定する:損害賠償を求めるなら、発信者情報の開示を検討します。手続は弁護士に依頼するのが一般的です。

会社のなりすましメールが出回っている場合は、法律より先に技術的な対策が効きます。取引先になりすましメールが届いたときとDMARCの設定を参考にしてください。社員のSNS投稿のルールは情報倫理で扱います。

チェックシートではこう聞かれる

よくある設問答え方の例
広告メールの送信にあたり、受信者の事前同意を得ていますか。はい。申込みフォームの同意欄で同意を得て、同意日時と取得ページを配信リストと一緒に保存しています。
配信停止の依頼に速やかに対応していますか。はい。全メールに配信停止のリンクを入れ、依頼は自動で配信リストから除外されます。
自社や自社製品に関するネット上の書き込みを確認する体制がありますか。いいえ。現在は担当を決めていません。〇月までに広報担当を決め、削除依頼の手順を定める予定です。

「いいえ」の場合も、代わりの対策と予定を添えると誠実な回答になります。書き方はチェックシートの回答の書き方を参考にしてください。

試験ではここが問われる

SG・SPREAD・支援士

  • オプトイン方式:特定電子メール法は、あらかじめ同意した相手などにだけ広告メールを送れる方式。同意のない相手への送信は原則禁止。
  • オプトアウト:受信拒否の通知を受けたら、以後は送ってはいけない。配信停止の連絡先の表示も義務。
  • 送信者情報の偽装は罰則つき:送信元アドレスなどを偽った広告メールは、直接の罰則の対象。
  • 改称:プロバイダ責任制限法は2025年4月から情報流通プラットフォーム対処法。発信者情報開示の仕組みは引き継がれている。
  • 大規模事業者の義務:削除申出窓口の公表、調査、7日以内の通知、削除基準と実施状況の公表。

確認問題

問1 特定電子メール法について述べた文として、最も適切なものはどれですか。

  1. ア 広告メールは、受信者から拒否の連絡があるまでは自由に送ってよい
  2. イ 広告メールは、原則としてあらかじめ同意した相手などにだけ送ってよい
  3. ウ 個人あての広告メールだけが規制され、会社あては対象外である
  4. エ ショートメッセージ(SMS)は対象外である
答えと解説
正解:イ 2008年の改正でオプトイン方式になりました。アは改正前のオプトアウト方式の考え方です。ウのような区別はありません。エについて、総務省令で電話番号を使う通信方式も対象とされています。

問2 社員12人の工具販売店(架空)が、ネット通販の会員にメルマガを送っています。会員登録時に同意欄で同意を得ています。法律上、追加で必要なこととして最も適切なものはどれですか。

  1. ア 同意の記録を保存し、メールに送信者名・配信停止の連絡先などを表示する
  2. イ 毎回、送信前に総務省へ届け出る
  3. ウ 同意があるので、配信停止の依頼が来ても送り続けてよい
  4. エ 送信元アドレスは毎回変えて、迷惑メール判定を避ける
答えと解説
正解:ア 同意の記録の保存と、表示義務が必要です。イのような届出の義務はありません。ウは配信停止の通知に従う義務に反します。エは送信者情報の偽装に当たるおそれがあり、罰則の対象になりえます。

問3 情報流通プラットフォーム対処法について、正しいものはどれですか。

  1. ア 旧名は特定電子メール法である
  2. イ すべてのWebサイト運営者に、7日以内に削除する義務を課している
  3. ウ 指定された大規模事業者は、削除の申出に対し原則7日以内に結果を通知する
  4. エ 発信者情報の開示を求める仕組みは廃止された
答えと解説
正解:ウ 大規模事業者には、申出から原則7日以内に、削除したかどうかと理由を通知する義務があります。義務は「通知」で、削除そのものを7日以内に必ず行う義務ではありません。旧名はプロバイダ責任制限法で、発信者情報開示の仕組みは残っています。

よくある質問

名刺交換した相手にメルマガを送ってもよいですか?
法律上は送れる場合がありますが、同意を取ってから送るのが安全です。特定電子メール法は、自分のアドレスを書面で通知した人にも送信を認めています。ただし、受け取った側が迷惑と感じると評判を落とすため、最初に同意を確かめる1通を送る会社が多いです。
メルマガの同意の記録は、いつまで保存すればよいですか?
そのアドレスに最後に送った日から1か月を経過する日まで保存します。施行規則でそう定められています。措置命令を受けた場合は長くなることがあるので、実務では配信をやめた後もしばらく残しておくと安心です。
SNSで会社の悪口を書かれたら、すぐ削除してもらえますか?
必ず削除されるとは限りません。運営者は、権利を不当に侵害しているかを調べたうえで、自社の削除基準に沿って判断します。指定された大規模事業者なら、原則7日以内に結果と理由が通知されます。

この記事のまとめ

メールの送信元認証の設定確認を任せる

Moshiruは、打合せなしでテキストだけでお受けします。会社のドメインのSPF・DKIM・DMARCを確認し、案内メールが迷惑メールに入りにくく、なりすましされにくい設定に整えます。設定の手順は文面でお渡しします。

メール到達パックを見る1ドメイン3万円(税別)メニューにないことを頼む文面で合意するまで料金はかかりません

参考にした資料

  1. e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(平成14年法律第26号)
  2. e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則」
  3. e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令」
  4. 総務省「迷惑メール対策」(特定電子メールの送信等に関するガイドライン、2008年11月策定)
  5. 総務省「平成21年版 情報通信白書」迷惑メール対策(2009年)
  6. e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」第12条の3
  7. e-Gov法令検索「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(平成13年法律第137号)
  8. e-Gov法令検索「同法施行規則」第16条(通知期間7日)
  9. 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」