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セキュリティの手引き

最近のサイバーセキュリティインシデント(2026年)|中小企業が学ぶこと

公開:2026年10月15日/最終更新:2026年10月15日/Moshiru 岡﨑 悠太

結論:2026年7〜10月に国内で公表されたサイバーセキュリティインシデントでは、VPNなどの機器からの侵入、委託先・クラウド側での漏えい、外からの連絡で初めて気づく例が目立ちます。中小企業が今月やることは、機器の更新と多要素認証、委託先の一覧づくり、自社でのバックアップの3つです。

2026年7〜10月の目立つ形
1機器から入られるVPN・ネットワーク機器
2委託先で漏れるクラウド・外部サービス
3外から知らされる警察・利用者・提供元

この記事は2026年10月時点の内容で、毎月更新します。事例は、組織が自ら出したお知らせか公的機関の発表で確かめたものだけを載せています。社名は出さず、業種と公表日で書きます。以下、インシデントと略します。

公的な統計:2026年上半期の数字

警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年9月)の主な数字です。

ランサムウェア(2026年上半期)
123件被害の報告半期として最多
約6割中小企業規模別
約5割VPN機器から侵入の経路
ランサムウェアの復旧
6割1,000万円以上復旧の総額
5割弱1か月未満で復旧長引く傾向
ニセ社長詐欺と不正送金(上半期)
ニセ社長詐欺約38億8,000万円
ネットバンキング不正送金約20億7,000万円

どちらも警察庁、2026年1〜6月

事例一覧(2026年10月時点)

入口と影響は、各組織が公表した範囲だけを書いています。「調査中」は公表時点の表記です。出典は最後の「参考にした資料」にあります。

型業種(公表日)入口影響
ランサムウェア小売・大手(2026年8月10日 第1報、10月9日 第5報)ネットワーク機器を経由した可能性が高い本部と店舗のサーバー・PCの多くが暗号化。POSと会計が止まり一部店舗に影響。10月9日時点で全店再開。漏えいのおそれ1,044,906件
ランサムウェアITサービス・自治体や企業の委託先(2026年8月15日 第1報、9月 第3報)VPNのアカウントを悪用侵入の2日後に監視で検知。取引先のお客さまなどの個人情報に漏えいのおそれ
ランサムウェア鉄道・大手(2026年9月26日)調査中一部グループ会社の営業システムに支障。鉄道の運行には支障なし
ランサムウェア大学(2026年9月25日)調査中事務用のNAS1台のファイルが暗号化。事務用端末の利用を止めた
不正アクセス国の機関(2026年9月11日)VPN機器の脆弱性。保守担当者のアカウントが使われた6月25日に検知、7月9日に原因が判明。約24.6万件に漏えいの可能性
委託先・クラウドクラウド事業者(2026年10月7日、10月14日 第5報)第三者からの不正アクセス(詳細は非公表)495の企業・自治体に障害。スナップショット機能を使っていた194件はバックアップを取り出せた
委託先・クラウドカラオケ・飲食・大手(2026年10月8日)委託先の従業員のPC1台がマルウェアに感染約872万4,000件に漏えいのおそれ
委託先・クラウド証券・大手(2026年10月5日)問い合わせ管理サービスの委託先サーバー約11万名(約22万件)に漏えいの可能性。自社システムへの侵入はなし
委託先・クラウド宿泊施設向けの予約管理サービス(2026年9月28日)非公表予約者にカード情報の再入力などを求める不審なメッセージ。施設にパスワード変更を依頼
アカウント乗っ取り報道機関(2026年10月4日)業務用クラウドのアカウントへの不正ログイン7月下旬から。8月上旬に提供元からの通知で判明。1,646人分に漏えいの疑い
メールの不正利用コンビニ・大手(2026年10月1日)メールサーバーの不正利用(原因は確認中)約2日間で不審な英文メール約70万件(推計)を送信
ECのカード情報日用品メーカーの通販サイト(2026年7月27日)Webサーバー環境の脆弱性。ファイルの改ざん警視庁の指摘で判明。セキュリティコードを含むカード情報912件に流出の可能性
ECのカード情報ECサイト構築サービス(2026年8月1日、8月2日 第2報)サーバー上で不正なプログラムが実行された最大で延べ8,853,839件。カード番号の一部、店舗の管理画面のID・パスワードも
設定の不備福利厚生サービス(2026年9月30日)システム改修時の条件設定の不備他の団体の従業員情報が見える状態に。13,460名分。利用企業からの連絡で判明

型ごとの学びと、中小企業がやること

ランサムウェア:機器から入られ、業務が止まる

小売の例では、侵入は暗号化より前に起きていました。ITサービスの例は、VPNのアカウントを使われ、2日後に気づいています。暗号化でPOSや会計が止まり、10月9日の第5報で全店の営業再開を伝えています。

小売・大手の公表の流れ
  1. 8月9日暗号化を確認POS・会計が停止
  2. 8月10日第1報
  3. 9月11日第4報
  4. 10月9日第5報全店で営業再開
ランサムウェアに備える3つ
  • VPN機器を最新にする
  • 多要素認証を入れる
  • 切り離したバックアップ

止まったときの動き方はランサムウェアの初動にまとめています。

不正アクセス:保守用のアカウントが使われる

国の機関の例は、VPN機器の脆弱性から入られ、保守担当者のアカウントで大量のファイルが読まれていました。検知から原因の判明まで約2週間、公表は検知の約2か月半後です。調べ終わるまで時間がかかる、と見込んでおきます。

国の機関の例
入口VPN機器の脆弱性
使われたもの保守担当者のアカウント
漏えいの可能性約24.6万件
保守用アカウントの見直し
  1. 1書き出す誰に何を渡したか
  2. 2止める使っていないもの
  3. 3多要素認証残すものに

委託先・クラウド:自社の外で起きる

10月だけで、クラウド、問い合わせ管理、委託先のPC、予約管理サービスと、自社の外で起きた例が続きました。証券会社の例は自社システムへの侵入はなく、委託先のサーバーから漏れた可能性があるものです。

自社の外で起きた例
1クラウド495の企業・自治体
2委託先のPC約872万4,000件
3問い合わせ管理約11万名
4予約管理予約者に不審な連絡

クラウドの例では、障害を受けた495の企業・自治体のうち、スナップショット機能を使っていた194件がバックアップを取り出せました。

クラウド障害とバックアップ
障害を受けた495件
バックアップを取り出せた194件

スナップショット機能を使っていた件数

委託先・クラウドへの備え

いまの状態

  • ×預け先が分からない
  • ×バックアップは預け先任せ

今月やる

  • ○預け先と連絡先の一覧
  • ○自社でもバックアップ

アカウント乗っ取り・メール:外からの通知で気づく

報道機関の例は、7月下旬からの不正ログインに、8月上旬のサービス提供元からの通知で気づいています。コンビニの例では、メールサーバーから約2日間で約70万件の不審なメールが送られました。

報道機関の例
  1. 7月下旬不正ログインが始まる
  2. 8月上旬提供元の通知で判明すぐパスワード変更
  3. 10月4日公表1,646人分
ニセ社長詐欺の流れ
  1. 1社長を名乗るメール
  2. 2SNSのグループへ作成を指示される
  3. 3口座残高を聞かれる
  4. 4送金を求められる

警察庁の説明から

送金してしまったときは送金してしまったらで、すぐやることを確かめます。

ECサイトのカード情報:長い期間、気づけない

日用品メーカーの例は、警視庁の指摘で判明し、対象期間は2017年11月から約8年半に及びます。ECサイト構築サービスの例では、購入者情報に加えて、店舗の管理画面のID・パスワードも漏れました。

カード会社や警察から連絡が来たら
カード情報の漏えいを指摘された?
はい決済を止め、ファイルとログを残す
まだ更新と管理画面の2段階認証
ECサイトで今月やる
  • サイトの部品を最新に
  • 管理画面に2段階認証
  • 連絡が来たときの窓口

設定の不備:直すまでを見届ける

福利厚生サービスの例は、2025年6月の改修で不備が入り、同年10月に社内で気づいたのに直しきれず、2026年7月に利用企業からの連絡で表に出ました。

設定の不備が表に出るまで
  1. 2025年6月改修で不備が入る
  2. 2025年10月社内で気づく直しきれず
  3. 2026年7月利用企業から連絡
  4. 2026年9月公表13,460名分

改修のあとは「他社や他人の情報が見えないか」を確かめ、見つけた不備は直ったところまで記録します。

今月やる5つ

  1. 外から入れる機器を書き出す:VPN、リモートデスクトップ、管理画面です。
  2. 最新にして多要素認証を入れる:VPNとメールの管理者から先に。
  3. 保守会社用と退職者のアカウントを止める。
入口をふさぐ順番
  1. 1書き出す外から入れる機器
  2. 2最新にする
  3. 3多要素認証
  4. 4不要なアカウントを止める
  1. 委託先とクラウドの一覧を作る:預けているものと連絡先だけで構いません。
  2. 自社でもバックアップを1つ持ち、戻せるか試す。
今月の5つ
  • 外から入れる機器を書き出す
  • 最新にして多要素認証
  • 不要なアカウントを止める
  • 委託先とクラウドの一覧
  • 自社でバックアップ

原因の全体像は中小企業のインシデントランキングと原因、発覚後の流れは最初の72時間の対応フローにあります。

よくある質問

大手の事例ばかりですが、中小企業にも関係がありますか?
公表されるのは大きな組織が中心です。ただ警察庁の2026年上半期の統計では、ランサムウェア被害の約6割が中小企業でした。入口や気づき方は規模によらず同じなので、型として参考にしてください。
委託先で漏れた場合、自社は何もしなくてよいですか?
この記事の例でも、委託した側がお客さまへの連絡や公表をしています。個人情報保護委員会への報告が要るかどうかは個人情報が漏れたときの報告で確かめ、迷う場合は弁護士に相談してください。
この一覧はいつ更新されますか?
毎月更新します。公表後に続報が出た事例は、影響の欄を書き換えます。

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Moshiruの代表は、大手自動車メーカーでセキュリティインシデント対応のチームリーダーを務めてきました。分かっていることだけ送ってください。最初にやることを、テキストで返します。

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参考にした資料

  1. 警察庁サイバー警察局「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年9月)
  2. REXT Holdings「当社ネットワークへの不正アクセスによる情報漏えいに関する調査結果及び今後の対応について(第5報)」(2026年10月9日)
  3. 両毛システムズ「当社社内システムへの不正アクセスに関するお知らせ(第3報)」(2026年9月)
  4. 京王電鉄「ランサムウェア攻撃によるシステム障害に関するお知らせとお詫び」(2026年9月26日)
  5. 佐賀大学「事務情報システムにおけるランサムウェア被害の発生について」(2026年9月25日)
  6. デジタル庁「ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について」(2026年9月11日)
  7. IDCフロンティア「当社サービスの一部システムに対する不正アクセスについて」(2026年10月7日)
  8. IDCフロンティア「【第5報】不正アクセスによる障害に関する調査の進捗について」(2026年10月14日)
  9. 第一興商「委託先における個人情報漏えいのおそれについて」(2026年10月8日)
  10. 大和証券「外部委託先への不正アクセスによるお客様情報の漏洩の可能性について」(2026年10月5日)
  11. 手間いらず「不審なメッセージおよび当社システムへの不正アクセスに関するお詫びとお知らせ」(2026年9月28日)
  12. 日本経済新聞社「不正ログインによる情報漏洩について」(2026年10月4日)
  13. ローソン「当社メールサーバーの不正利用による不審メール送信について」(2026年10月1日)
  14. ファイン「弊社ECサイトにおける不正アクセスによる、個人情報流出の可能性に関するお詫びとお知らせ」(2026年7月27日)
  15. Eストアー「不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお知らせ(第2報)」(2026年8月2日)
  16. ベネフィット・ワン「当社システムにおける個人情報漏えいに関するお知らせとお詫び」(2026年9月30日)